日本における在留外国人の増加は、単なる人口構成の変化にとどまらず、財政改善や社会の持続可能性に大きな影響を与えています。特に、2019年に導入された「特定技能制度」によって、即戦力となる外国人材の受け入れが進み、労働力不足の解消と税収増加の両面で成果が見え始めています。

若年層の流入が財政に与える好影響

 日本経済新聞社と日本経済研究センターが実施した「エコノミクスパネル」調査によると、経済学者の66%が「在留外国人の増加が財政改善に寄与する」と回答しているという報道がありました。その主な理由は、在留外国人の多くが20〜30代の若年層であり、労働市場において活発に活動しているということです。彼らは所得税や社会保険料を納付することで、歳入の増加に貢献してくれています。
 また、彼らの労働力は人手不足が深刻な分野、特に介護・建設・サービス業などで重要な役割を果たしており、モノやサービスの供給安定化を通じて物価上昇の抑制にもつながっています。これは、平均的な日本人の生活水準の維持・向上にも寄与する要因となっています。

共生社会への課題と展望

 一方で、外国人材の受け入れが進む中で、共生社会の実現に向けた課題も浮き彫りになっています。言語や文化の違いによる摩擦、教育や医療などの公共サービスへの対応、地域住民との関係構築など、多面的な取り組みが求められています。政府や自治体は、生活支援や日本語教育、多文化共生センターの設置などを通じて、外国人も安心して暮らせる環境づくりを進めています。企業側も、職場でのコミュニケーション支援やキャリア形成の支援を強化することで、外国人材の定着と活躍を促しています。

財政改善と社会統合の両立を目指して

 在留外国人、特に特定技能制度によって来日する外国人材は、日本の経済と社会の持続可能性にとって不可欠な存在です。財政改善という短期的な成果だけでなく、共生社会の構築という長期的な視点を持って、彼らの力を最大限に活かすことが企業にとっても重要なテーマになってくることは間違いないと思います。
 今後は、制度の柔軟な運用と地域社会との連携を深めながら、外国人材が「一時的な労働力」ではなく「共に暮らす仲間」として受け入れられる社会を目指すことが、日本の未来にとって重要な鍵となるでしょう。
 「共生」をテーマとしているLALLグループの一員として弊社もまたその一助をさせていただいております。